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近代国家の泣き所は、言うまでもなく民族自決の原則である。
これは自決権として、国連憲章にもある法的にも保障されているようなされていないような感じのものである。 なぜ泣き所かと言えば、おおよそ数千万からの人口を抱える規模の国家において、独自の文化を持った民族が一つだけということはおおよそ在り得ないからである。 これは、最初から移民の国として出発したんで逆に大丈夫かと思われがちなアメリカも例外ではない。 あそこはあそこで、ネイティブアメリカンの問題が実にヤバい。 というか、当時の政府と交わした契約書を盾に、いくつかの州はネイティブアメリカンの持ち物なので、即刻引き渡してもらって独立国家になる! という、大変困った運動が近年起きており、自決権を誠実に解決しようとした暁には、アメリカは余裕で分裂である。 じゃあ、日本はどうかと言えば、アイヌの人には申し訳ないが、今のところ全然大丈夫である。 これは、万世一系の天皇家を頂く、単一民族国家日本ならでは、と言えれば実の景気がいいのだが、現実はそんなにうまくできておらぬ。 結論から言うと、早めに近代教育制度が行き渡ったお陰で助かったのである。 民族のアイデンティティとやらを問われて、俺は万世一系の天皇家を頂く誇り高き大和民族だぜ、イヤッハー! とスムーズに言えるのは、右翼かキチガイぐらいのわが国であるが、一方で、自分が日本人であることに疑問を抱くのも左翼かキチガイぐらいである。 これは、国家としての日本と、民族としての日本人の枠が、限りなく同じ範囲を指すからである。 日本民族は、ほとんど日本国に所属しておるものだし、日本国にはほとんど日本民族しかいないのである。 しかしながら、江戸時代までは、今の都道府県ぐらいの単位で、別の国家だったことを忘れてはなるまい。 生物学的な人種の面では、平安時代以降、大きく変わっていないことは言うまでもないところであるが、民族という枠を持ち出す場合、それでは不十分である。 例えば、現在のユダヤ人とエルサレムを追われた頃のユダヤ人は、人種的には全く異なるものであり(むしろ、パレスチナや近隣に住んでいるアラブ人の方が近い)、また、今でこそ穏健な方向に進んでいるイギリスとアイルランドの問題に至っては、人種的には両者とも全く差異が無いと言ってよいほどである。 日本が幸運だったのは、戦国時代という長い内乱の時代こそあったものの、江戸時代がずいぶん長かったため、『なんだかわかんねえけど偉い人は江戸だか京都だかに住んでるんだね』という共通認識があったのと、なぜだか知らないが読み書きの習得が全国津々浦々で盛んだったため、もう本気で何を言ってるかわからないレベルまで意思疎通が困難だったりしなかったことである。 これが、明治政府が近代教育制度をやるぜ!と意気込んだ時、大変にスムーズに進められた要因の一つである。 近代教育制度は、地方独自の文化を直接殺しはしないが、すごい勢いで衰退させることは今更書くまでもない事実である。 こうして、目立ったところでは、会津の人がいまでも薩摩の人に怨みを持っているぐらいのことでおさまっておるわけである。 これが、ちょっとばかり手間取って、第一次大戦ぐらいまでずれ込んでいたならば「我こそは○○人」とか言い出すお調子者が出てきて、その中には、本当にカリスマ性を備えている迷惑な奴がいたりして、日本でも民族紛争が花盛りであったろう。 まあ、それはそれで第二次大戦やらなくて済みそうだが、ぶっちゃけ経済大国とかは夢のまた夢だろうな。 さて、「お調子者」だの「迷惑な奴」だのと、わざとそういう奴をアホタレ扱いして書いたわけであるが、諸君はどう思っただろうか。 上記のような感想は、余がいわば『統一日本人』の視点から見たものである。 我こそは広島人、と立った者がいたならば、今頃、余は広島民族解放戦線に所属して、中央政府に自爆テロしておるかもしらぬわけである。 明治政府の連中が、すげえ偉かったのか、すげえラッキーだったのかは知らぬが、国家100年の計にはある意味成功していたと言えるかもしれぬな。 ところで、中共なんぞは、ハナっからうまくやる気も、カドを立てない気もなく、「チベット人とか全部入れ替えちまえよ」と大変頑張っておられるわけだが、学校建てて高等教育やって、ついでに、インターネットでもつなげてしまえば、案外、あっという間にチベット人という枠は無くなってしまったかもしれぬ。 とはいえ、それをやったらやったで、逆に共産党がヤバくなることも考えられるわけであり、少なくとも、色々な面倒が起きるのは避けられまい。 要するに何が言いたいかというと、何事もタイミングが重要だということである。 あと、中国は空気読め。 SPQEにより承認 書記:総統
by soutou_d
| 2008-04-10 19:45
| 時事、政治
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