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巡回路
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携帯電話の時代になっても、間違い電話は無くならぬようである。
余の場合、見知らぬ番号だと、そのままスルーするなどといった酷い面倒くさがりなのであるが、気力に余裕のあるときは出たりする。 そこで、余にかかってきた間違い電話のうちから、比較的面白かったものをいくつか紹介する。 1.営業の田中さん(仮名)から 余はその日、京都にてサバゲをすべく、朝から愛車『誘導爆弾号』で移動中であった。 時間としては、おそらく9時半過ぎであったかと思う。 丁度、比叡山の方から降りてきて、川端通りを今出川に向けて南下しているとき、携帯が鳴った。 まあ、丁度サバゲに向かうところであるし、途中で仲間を拾う予定でもあったので、何か予定の変更か連絡でもあるのかと、特に番号も確認せずに電話に出た。 「もしもし、営業の田中(仮名)ですけど! ちょっと移動に時間がかかっておりまして10時からの打ち合わせには20分ほど間に合いません!」 余が「もし……」まで言ったところで、この勢いである。 大変に焦っているようだ。 「それで、××のことですけど、○○を△△円で卸してもらえることになってるんで、最初の提示額のテンパーセント引きで……」 携帯電話にかけているため、営業の田中さん(仮称)は、同僚に話しているものと思い、怒涛の如く、10時からの打ち合わせをどういう方向に持っていきたいのかということを喋りまくりである。 「あのー」 「はい!」 営業の田中さん(仮称)は、大変元気がいい。 「おそらく、間違い電話だと思います」 「またそんな事言って! 声でわかりますって! とにかく、私は間に合わないんで、佐藤さん(仮称)の方で、今の方針で話を進めといてもらわないと困るんですよ!」 どうやら、佐藤さん(仮称)とは、電話番号のみならず声質まで似ていたようで、間違いだと気付かない。これは手強い。 それにしても、この営業の田中さん(仮称)ノリノリである。 とはいえ、あまりにも運転中の通話を続けていると、何かとまずいことになるのであり、強引に打ち切ることにした。 「とにかく、違うんで切りますよ」 「ちょっ……」 ピッ その後、営業の田中さん(仮称)からの電話は無いので、無事に佐藤さん(仮称)に連絡できたものだと信じたい。 しかし、余は「もし……」と思う事がある。 余と声質まで似ていたらしい佐藤さん(仮称)が、露骨な嫌がらせをしたのだと田中さん(仮称)が思ってしまっていたら、と。 余は、それからしばらくの間、殺人事件の「会社員が同僚を殺害」といったようなニュースを見ると、容疑者と被害者が田中さん(仮称)と佐藤さん(仮称)でないことを確認せずにはいられなかった。 2.意思の疎通が困難 その日は確か平日で、余は、目覚めてから仮の仕事の職場へと出社するまでの、けだるい時間をダラダラと過ごしていた。 その時、携帯が鳴った。 この場合は、あまりにもダラダラとしていたので、番号を確認するのさえも面倒でそのまま出たような気がする。 「gんfsぽgrjpfかs」 「はぁ!?」 もう、「もしもし」さえも言えなかった。 相手が何を言っているのかすらわからない。 「gjhそpr の rふぃpんjf ですが」 ちょっと耳が慣れて、どうも日本語らしいことまでわかってきた。 「すみません、何ですって?」 「gjhそpr の rふぃpんjf です」 さっぱりわからぬ。 訛っているのかどうなのか、とにかく、音声が脳内で日本語に変換されぬ。 東北弁なのか、はたまた、未知の方言なのか、とにかく、何処の誰だかを名乗っている筈なのだが、見当もつかぬ。 「なんだかよくわかりませんが、とにかく間違い電話だと思います」 「fjfl;bgtr」 ブツッ 切れた。 果たして、彼(壮年と思われる男の声ではあった)は何処の誰だったのか、どういう方言だったのか、あるいは、彼独特の発音の問題だったのか。 こちらの日本語は通じていたようなので、外国人ということはなさそうである。 中国人が話す日本語や、韓国人が話す日本語などのパターンも考えられるが、どうもそういった感じはしなかった。 いずれにせよ、何処の誰からどういう用件でかかってきたのかも不明なままである。 ところで、最近、この間違い電話に関して、一つの可能性に気付いて慄然としておる。 日本語を話し、日本語を聞き取れたが、彼の話す日本語は、まったく余に通じなかった。 かのヘンリー・エイクリーが、羽音のような聞き取りがたい、しかし、人間の言葉を話したのを聞いた、あの者ではないのか。 宇宙を支配する知性も魂ももたない異形の神々が呆けて踊る、下劣な太鼓とかぼそく単調なフルートの音色がひびく外宇宙の深奥にて、冒涜的な言葉を吐き散らす魔王を信奉する、おぞましき羽虫の如き姿を持つ菌類。 あえてその名を口にした者とておらぬ、果しなきユゴスよりのものにして、金属筒に涜神的外科技術でもって、生きたる人間の脳髄を収め、彼方へといざなう驚異への先導者、その具現なるは、これ忌まわしき菌類生物ミ=ゴなるぞ。 いあ! いあ! あざとーす! あざとーす、ふたぐん! ここまで書いたところで、 総統は元老院議員に取り押さえられました。 書記:なち13歳
by soutou_d
| 2007-02-01 16:26
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