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ハーネマンさんの時代、医療は危険であった。
ていうか、むしろ、暴力の荒野だった。 医療の目玉は瀉血といって、わざわざ血管をブッた斬って出血させ、血液を捨てるという治療法である。他にも、精神病とみたら頭に穴をあけて髄液を捨てたりするなど、「悪いモンが溜まってるから病気になるんだから、捨てりゃいいんだ」というような、魔女のバアさんも裸足で逃げ出すような治療法が盛り沢山であり、はっきり言って病気になったら死なない方がおかしいレベルである。念の為に言っておくが、ハーネマンさんのまわりにキチガイが多かったわけではなく、当時はこれが科学的で正しい医療とされていた。 ハーネマンさんは激怒した。かの、邪知暴虐の医療を除かねばならぬと決意した。とはいえ、その時のハーネマンさんには、まだ独逸的閃きが訪れておらず、とりあえず医者を辞めることで手を打った。 しかし現実は非情である。稼ぎがないと飯が食えない。それに、医者になるための勉強を捨てるのも惜しい。そういうわけで、翻訳家になることにしたハーネマンさんは、薬剤に関する書籍の翻訳に手をつけた。 ハーネマンさんは翻訳しながら思った。「効いた効いたつってるけどちゃんと試したのか?」というわけで、薬剤の治験をやってみることにした。 自分で。 自分に。 とりあえず、熱病の治療薬を飲む事にした。 すると、健康なんだから何も起きねえと思ったが熱が出た。「おかしいやんけ」と思ったが、その他の薬剤を試すうちに、健康な状態で飲んだ時に出るよくない症状というのは、その薬剤が治すとされている症状に似ていると気付いた。 「さて皆さん、いよいよ今日のその時がやって参ります」 ハーネマンさんは思った。 薬効は、治したい症状の対抗的な効果(熱病の治療薬なら、健常者が飲んだら体温が下がる効果があるべき)が出るはずなのに、むしろ同種の効果が出ている。これは、いったいどういうことだ。 その時…!圧倒的閃きっ…!! それほどの閃光…光が…ハーネマンの脳を刺す…! 閃く…!この土壇場で…! 悪魔を殺す悪魔的奇手っ…! 人間には本来、 病気と似た症状を生む薬剤を与えることにより、身体を健康に保とうとする サミュエル・ハーネマン。同種療法の着想を得る。 時に1796年のことであった。 ハーネマンさんの独逸力は、もはや53万を軽く凌駕した。 自分で自分を人体実験という狂気の沙汰の末に得た、同種治療という発想に、誤まりがあろうはずがない。ゆえに「実際に病人に投与してみたら副作用(ていうかメイン薬効)がキツ過ぎるという問題は、水で薄めることで回避した」という対応も平気だ。無論、化学的には水なので副作用は起きない。何もやってないだけだが。 しかし、時代が時代だ。世間の医者どもは、今日も今日とて血を捨て、水銀で燻し、頭に穴を開けていた。そのため、ハーネマンさんの医療に「病気が治った!」「怪我が治った!」「彼女が出来た!」と喜びの声が多数集まる。 おお、見よ、高度に発展した独逸力は魔法と区別がつかぬのだ。 斯様に、果敢に現実と戦い、打ち破ったハーネマンさんの無双の独逸力が、最早、病如きに遅れをとるはずがない。 サミュエル・ハーネマンが、88歳という長命を保ったのも当然と言える。 SPQEにより承認 書記:総統
by soutou_d
| 2010-09-13 12:59
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